日本のエネルギー自立への道

桐生 悠一

 

1.日本のエネルギー事情改善への提案

資源小国日本は中東のエネルギー資源への過度の依存を避けるためと、エネルギー支出を低減するため に、長期的国家方針として原子力発電の比率向上を目指してきた。福島第一原発の過酷事故はその将来 展望を打ち砕き、現在の日本のエネルギー施策は迷走状態にある。
この窮状を打開すべく、多くの提案がなされている。これはその一つである。この提案がエネルギー問 題の救世主となるかどうか、先入観なく照査していただけないであろうか。
このような非常時には、エネルギー問題解決への行動決定者は、提案者の社会的地位に囚われることな く、その提案内容の価値の評価に集中していただきたいと思う。
筆者は二つの異なった方向から提案している。一つは日本の EEZ 内を流れる黒潮の運動エネルギーの 利用。これは再生可能な自然エネルギーで、その方向性に異議を唱える人はいないと思う。
もう一つは原子力の利用。国民の多くから時代錯誤と非難されそうだが、温暖化ガス対策と、エネルギ ーコストの低減と、将来のエネルギー需要の増加を考えると避けて通れない道だと確信する。
何れの提案も基礎的な工学知識をお持ちの方々なら簡単に可行性の検討が可能である。政治的にも経済 的にも利用の価値ありとお認めいただければ、一日も早く実行に移していただきたい。それが日本が国 際競争力を失うことなく、世界に伍して行けるエネルギー自立の道だと信じる。